気分は上々 3

<3/7の続き>

「明後日」を向いたまま、集団から離れて加速を続けるCRF150RⅡ。ギヤが3速に入るとすぐにフロントタイヤがバンクの斜面を掴み始め、そこから右手の甲を返して人差し指でフロントブレーキレバーを握りしめる。鋭く切り返すでもなく、第1コーナーのアールをなぞるように走るCRF。そしてバンクを駆け下りるゴーグルレンズの先に、マシンが1台ずつ、コーナーの内側をつつくように集まってくる。その鼻先を掠めて、まとめて交わしていくはずが・・・727をゼッケンプレートに記したCRF150RⅡが、わずかに早く、第1コーナーをすり抜けていった。第1ヒートを制したこのマシンの前でチェッカーフラッグをくぐらないと、今日も私の負けになる。林の陰、薄暗い408コーナーへと軽く傾斜したストレートに視線を這わせると、もう1台別のマシンが、その前を走っているのが見えた。

<つづく>