気分は上々 4

<3/11の続き>

一気に右手がフルスロットル。

山砂を蹴散らして、ホンダエンジンがすぐに唸りを上げる。

ンババババババババ、バババ。

かまうことなくそのまま傾斜を駆け上がれば、727のゼッケンが目の前で翻る。真後ろに着けたマシンが居ること、それが同じ4ストローク150ccであること、そして前を譲れないライダーであること。右手を軽くあおると、一瞬ヘルメットが揺れて、すべてをわかった師匠のCRFが外に大きく泳いだ。ヒート2最初の408コーナー、重なるように立ち上がった2台のCRFは、外に流れた方がわずかに遅れて続く第3コーナーになだれ込んだ。

結局、この細い背中を見続けたままチェッカーを受けた午前の一番、このまま引き下がるわけにはいかない。早く仕掛けておかないと、二の舞だ。ここではめずらしくインからマシンを外にはらませて、強引に真横に並んでみせる。「譲った方が負ける」、そう言い聞かせるように右手を捻り、727のゼッケンをそのまま外へと押しやった。

<つづく>