Doctor Doctor

夕べ遅くの枕元から目が覚めるまで、そしてこうして地下鉄の満員に揺られながら、ずっと同じフレーズを飽きるまで聴き続けるのは、洋楽を始めて知った頃から変わらない。そんな変わった癖のまま、こんなに年を食ってしまった。窓に移った自分は、あの頃着るまいと思っていたスーツを羽織り、黙り続けて黒い壁を見つめている。

スタジオテイクのイントロは、インストゥルメンタルが追加されて少しだけ長くなって、オーディアンスの心を昂ぶらせる。UFO時代のオリジナルからは、もう44年。当世風にアレンジされて少しだけ若返っても、マイナーコード基調の傑作の、その主旋律が褪せることはない。GibsonフライングVが欲しいと思うのは酔狂が過ぎるか。