六月まよえる金曜日

水の月に入って一週間、再び金曜日がやってきた。

梅雨入りしてすぐ、陸から南の海へと離れていった前線が、連日、夏の陽射しを届けてくれている。わずか一日降っただけの雨はすっかり土に消えて、アスファルトには照り返しの陽炎が舞い上がる。その光に惑わされて、小指の爪ほどの雨蛙が一匹、灼けたアスファルトに迷い出る。そのアスファルトにあわてて若い稲穂の茂みへと飛んで帰っていた。

朝の冷ややかな空気を、午後になって南風が強く吹き飛ばして、空には積乱雲が群をなして走っていく。そんな梅雨の晴れ間も今日まで、明日にはまた空に雲が張り、南から近づく台風で、吹き降りになるという。

その雨は日曜日の午後から。海から遠い北軽井沢は、もしかしたら前線の端になって、湿った風が吹き溜まるだけかもしれない。スクリーンに映る天気図、その予報に、いつまでたっても迷いは晴れない。