雨のやみ間に

枝葉の先、雲間にのぞいた淡い水色。どこからか風に流れて雨粒がひとつふたつと、ゴーグルのブルーレンズに弾けて消える・・・。

「千歳が雨でも、札幌が降ってないってこともあるからねぇ」

隊に居た頃の記憶か、浅い四年の経験からか・・・助手席がボソっとつぶやいた。わずかな期待を込めるようにワイパーで水滴を吹き飛ばしながら、40kmほど離れた北に向かい、Bongoがひた走る。荷室にはRM85Lの隣にCRF150RⅡ。この日のために海を渡ったryoの愛機が、バックミラーの中、黒く沈んでいた。

恵庭から江別恵庭線を左に曲がって、後は道なりに山の中を進んでいく。10月の初旬にして色づき始めているのが、北の大地らしい。その褐色に辺りが照らされて、曇天が薄く明るく見えてきた。動かないフロントワイパーに、タイヤからの水切り音もいつしか消えている。

「止んでるね」

スマホのナビのとおり、すっかり乾いたアスファルトをたどっていくと・・・黄色いDUNLOPののぼりが立ち並んで、いきなりコースにたどり着いた。どこか第二のホームコースを思わせるアピアランスに、助手席と目を合わせる。TUBEの「あー夏休み」が聞こえそうな気がした。

<つづく>