雨のやみ間に 4

<11/2の続き>

三つ並んだテーブルトップは、どれもみな、平板で撫でつけたようにきれいに設えてある。最後の一つ、そのなめらかなランディングを右に見て、パドックからは左に直角に折れて、コースイン。すぐにホームストレートなのだろうか、ただ広がりを見せる空間へと右に落ちる。山砂に覆われたそこを、左に軽く倒しながら加速すれば、ひときわ長いテーブルトップジャンプの斜面が一気に迫ってくる。開放感と幅の広いアプローチに気を良くして、一気に跳びきるCRF150RⅡ。その左に並ぶように着地するRM85Lは、わずかに距離が足りずに前のめりのまま、ランディングをなだらかに駆け下りる。平らになって右、左と白樺を縫うように短く切り返してから、現れる二つのコブをいなしていく。

フルサイズマシンなら越えられなくもない、その間の底に揃って落ちて、林にミニモト二台の鈍い打音が響いた。

少し下るようにして右にヘアピン。広いバンクはなだらかに均されていて、どこから入ってどこに抜けようかと、楽しく惑う。その立ち上がり。ひとつ尖ったシングルジャンプを跳び出すと、さらに大きな左バンクが、空にのびやかな弧を描く。薄く割れ始めた灰色を背に右手を捻り、出口に現れたフープスのひとつ目のコブにフロントタイヤを突き当てる。バンクの縁からそのまま、右端のレーンを駆け抜けるCRF。バンクの下、コーナーの内側から立ち上がるRMは、そのひとつ目のエッジでリヤタイヤを弾かれ、車体が大きく右に流れていく。それでも19と16インチのタイヤサイズにも優しい深さとインターバルが、一年のブランクを空けて4スト150ccを操るryoの背中を、一気に大きくした。

最後のコブをやり過ごして、右にターン。立ち上がってすぐに、ひとつシングルジャンプを跳び出して、続けざまにもう一つシングルジャンプ。ここで高く宙へと放り上げられる。CRFとRMが右と左に分かれ、揃ってリップを蹴り出す。揃いのSHOEIが横に動いて、一瞬だけ、視線が交差する。そのまま砂の上へと落とされてからは、まっすぐに延びる坂を上りきり、右に大きく曲がって今度は、あれた路面に腰を引いて、マシンと一緒に弾むように下りていく。頂点の右カーブの外に、さっきの軽トラックが停まって、荷台に切り株を積み上げていた。手を止めて視線を送る作業着。悪くない。

<つづく>