雨のやみ間に 5

広がるのは、あまりに開けたインフィールド。晴れていたなら陽射しが満ちて、空の青に包まれるだろうことを、白く光る砂が物語っている。

坂を下りきった底から一度上るようにして、宙にバンクが迫り出す。マシンをしっかり曲げておかないと、縁からダイブ。勾配に右手を当てておかないと、勢いも止まってしまう。白く乾いた砂が、迷うフロントタイヤを浚うように引き寄せる。かなり苦手なタイプだ。

攻め倦ねて車体を揺らしてばかりのRMを従え、バンクに高く砂を巻き上げ、CRFが駆けていく。左の前十字靱帯は切れたまま。半月板も欠けたままでいたら、左コーナーでは置いていかれるばかり。こうしてスライドさせながら立ち上がるようなカーブは、なおさらだ。

<つづく>