BRONX BOY 5(完)

オープニングのRip It OutからPrasite、Hard Timesと、彼を知るファンがたまらず席を立ち、グラスを宙に突き出して踊り出す。立て続けに3曲披露して、狭いフロア荒れた息づかいがこだまする。そして、たどたどしいMCとともに、ワイヤードの弦を力まかせにダウンストローク。重たいリフを刻みつけて、いきなり2,000 Manが始まった。

半ば強引なリフさばきは、後ろに高く積み上げられたMarshallが音を潰して、上手くごまかしている。Hard Timesと同じくアルバムDynastyに収められた楽曲は、ストーンズのオリジナル。ギタリストらしい選曲も、初めて耳にしたときは「KISSの曲じゃない」とだけ思っていた。この曲の良さがわかるようになった頃、彼はもう、KISSじゃなくなっていた・・・・・・。

ネックを床に叩きつけるような仕草で、伸びやかに歪む連符を奏でるエース・フレーリー。その彼の手にするレスポールが、なぜだか急にぼやけて見えてきた。まばたきをこらえるともう、その姿がステージを彩る青いイルミネーションに溶けていく。それでも滲むにじむ光の中で、Don't you know? I'm a 2,000 manと、ただ繰り返す・・・・・・流れることのない涙とBRONX BOYとともに。