懐古 2
<12/6の続き>
モトクロスの神様なんかじゃない。
きっとアイツのせいだ。きっと懐かしくなって、ちょっと悪戯したくなって・・・・・・でも、ちょっと悪戯が過ぎた。だから、ぶつけてきた相手に「ドコ見てんだよ、イテェじゃねえかよ!」と、めずらしく怒鳴りつけてしまった。そのCRF150RⅡもまだ倒れたまま、エキゾーストパイプから煙を上げている。こんな仕業も、まったくアイツらしい。
ただ、いつまでもそんな懐古に浸っているわけにもいかないし、この日のために設えた愛機RM85Lを、ずっと横に寝かせてもいられない。まだ後ろに佇んでいるゼッケン2に向かい、「大丈夫!」と短く目で笑って、黄色い車体に手をかける。先に起きあがったCRFを見送ると、二人して完全に取り残された。
でも、これでゆっくりと・・・・・・サシで勝負ができる。
<つづく>