2021-03-10 3月10日 モノローグ 陽が落ちて、西の空の茜色を背に、桜木のつぼみがかすかに揺れている。北からの風は止み、夜の気配の街を下に、電信柱の明かりが点っていく。 ことさら良いことがあったわけもなく、さりとて悪いことがあったわけでもない。ただただ、青い空が広がり、雲はなく、光が降り注いでいただけのこと。 そうした一日を、「満ち足りていた」と感じるのは、この一年で少し老いてしまったのだろうか。 明日もまた、陽射し溢れる日になるという。せめて騎上にあるときには、「時」に貪欲なままでありたい。