桜木

もうすぐ三月も終わろうかとするこの時機に、ようやくホームコースの初走り。初心に返って9時から走りだそうと意気込んで、夜詰み、早寝を決め込んだものの、相も変わらずの体たらく。結局いつもより15分早く出ただけ。とても一本目から走り出せる時間じゃない。

それでも春霞に煙る空の下、東へとひた走るトランポの中で、気分は軽やかだ。視線の端々にも桜が見頃と咲き誇り、冬枯れの景色に薄桃色の明かりを広げている。誰に見られるのを待つでもなく、ただただ季節を知らせる桜木。名所に押し掛けるなぞ風流に欠けると言うものよ。

こうして道すがら、名も無き桜木に心奪われるのも、風情あって粋じゃないか。