鉄馬 1/2

この前に火を入れたのは、いったいいつのことだったか。はっきりと思い出せもしない。確かツーリングでも何でもない、もしかしたら今日と同じように、ただの「お使い」に付き合わせただけだったかもしれない・・・・・・。とにかく埃だらけのカバーをはぎ取り、イグニッションに差し込んだキーを右に倒す。タンクの上、オレンジ色の警告灯が消えてから、赤いボタンに軽く触れると、あっけなくエンジンが目覚めた。250ccの単気筒から吐き出される排気音は、相変わらず緊張感の欠片もない。程良く暖まるのを待って、シートにまたがり、陽だまりのアスファルトへと蹴り出した。

つづく