「鉄、なめんなよ!」んんん・・・いい響きだねぇ

『I STOLE YOUR LOVE』がイヤホンから流れる。アルバム『LOVE GUN』、そして二度目になる武道館のオープニングを飾ったKISS黄金期の名曲だ。頭に浮かんだのは『I STOLE YOUR LOVE』じゃなくて『愛の謀略』、いわゆる“邦題”だ。直訳でもカタカナでもない、訳者の感性が混じったタイトルには、粋な味わいがある。翻訳直系のお題じゃあ、こうはいかない。

そんな“邦題”も、今では見る機会がめっきり減ってしまった。廃れたのか、手間が惜しまれるのか・・・ずいぶんと殺風景な世の中になったものだ。映画の世界でも“直球勝負”が多いようで、「趣のあるタイトルが少なくなった」と映画評論家が嘆いていたっけ。たしかに『セックス・アンド・ザ・シティ』よりは『風と共に去りぬ』に惹かれる。原題の『Gone With the Wind』は『ゴーン・ウィズ・ザ・ウインド』になるわけだけど・・・これじゃ色気も何もあったもんじゃない。やっぱり『風と共に去りぬ』しかない。

テレビに映画『アイアンマン2』のCMが流れていた。『鉄の男』にするのは芸がないというか、“鉄男”となれば・・・別の話になってしまう。これはまずい。ただ、「鉄、なめんなよ!」は気に入った。そのままタイトルにしてしまえばいいのに!ってくらいにカッコイイと思うんだけど・・・どうだろう?直球のカタカナには出せない味、ってとこかな。KISS第Ⅱ期の『ROCK AND ROLL OVER』に、『I WANT YOU』という曲が収められている。これを『いかすぜあの娘』とは・・・何とも粋じゃないか。邦題に幸あれ!