今度は大丈夫!

あれほどの大きな揺れは気にならなかったクセに、窓から雨音が消えただけで、ナゼかそわそわして眠りが浅くなる。気づけば雪灯りで、透きとおったガラスが白く照らされていたら・・・ぼんやりと寝ぼけたアタマが、悪い予感に寒くなる。ベッドの左へ落ちかけた掛け布団を、ゆっくりと剥いで、真っ暗な部屋に立ち上がる。そのまま枕元のカーテンを引いて、レース模様と結露でにじんだ夜に、裸眼の焦点を合わせる。小さな出窓は、闇の色だけが映り込んでいるように黒く、街灯の明かりが、その闇に呑まれていた。差し伸べた人差し指にアルミの触感が伝わり、指の腹がそこだけ冷たくなった。そこから半月状のカギを捻って外して、湿り気で重たくなったサッシに右手をかけて、左に向かって力を込める。ググッと、かけた力が一瞬とどまってから、爆ぜるように解かれた。ストッパーまで行ってはね返された窓枠の外には、うっすらとモヤがかかり、濡れたアスファルトがその下で光っている。ただ、雨が上がっただけ・・・路が白く静まりかえっていることはなかった。