大ハズレ!

傘も差さずに濡れたアスファルトの端を選んで歩く。まばらに落ちる街灯が、そこだけ路面を白く滲ませる。積もるはずだった雪は、お昼近くにほんの少し吹雪いてみせただけですっかり雨に変わり、宵闇の迫る時分にはもう、その滴さえわからなくなっていた。真っ黒なスーツの足下に、砂色をしたティンバーランドのシックスインチが明るく映える。

朝から降り続いて、お帰りの頃は都心でも5c以上の積雪になるので気をつけてください。お天気お姉さんにそう送り出されたのに、ラバーのタンク底が、雨を吸ったタイル地を擦ってキュキュッと音を出す。通りを折れて駐車場に入り、そこから軽トラをながめると・・・フロントガラスから前に倒されたワイパーが、間抜けた感じにまっすぐこっちを指していた。

こんなことなら・・・歌トモとの“歌会始”は今宵でもよかったかな。