Rain Rainey 1

しっかりとした雨粒が、フロントガラスにぶつかって音を立てる。つぶれた滴をよく見ていると、その中に白っぽく凍った粒が混じっている。みぞれまじりの朝。暖気もせずに裏庭から飛び出すBONGOは、4つのタイヤに泥をまとったまま、濡れたアスファルトに茶色の帯を2本引いて走り出す。

圏央道の開通に合わせて、往復4車線に広がった国道のバイパスを越えても、BONGOの水温計の針はまだ動かない。冷えきった車内で、ももクロの声だけがアツく弾ける。古利根川に突き当たり、道は右に直角に折れる。川沿いに進んでいくと、すぐに「船渡橋」と書かれた交差点になる。

橋に向かって少し上り勾配のついた左90°は、まるで逆バンクのよう。信号が青なことをいいことに、ろくにブレーキペダルも踏まずハンドルを左に切り、傾斜の上でアクセルペダルを踏み込む。濡れた路面に逆バンク、途端にリヤタイヤが空転して、車体が大きく揺れる。その逃げていくような感覚に、Walter Wolfの濃紺を思い出した。

<つづく>