もう・・・

狭い玄関のなか、後ろ脚を軸にして回り続けるネロに何とかリードを着けて、冷たい感触の引き手を取り、夜に出て行く。通りの電柱につけられた灯りが、白く光るように路地を照らしている。雨がもう、音も無く舞うようにして、アスファルトを黒く濡らしていた。天気予報はまったく正確だ。週末はどちらも、青い傘が開いたままは正しいと、空が言っている。

だから明日は、ひさしぶりに遅く起きられるらしい。予定のない、自堕落で贅沢な雨の週末。さて何をしてやろうか・・・。