偉丈夫にやられて

南寄りのぬるい風が強めに吹いて、空にかかる雲もない。青がまあるくアタマの上高くにあって、奔放に太陽を遊ばせている。長袖のTシャツだけなのに、少し動けばうっすら汗がにじんでくる。師走に「暑い!」と嘆くのは、何かの冗談じゃないかと思う。深夜の激しい雨さえ、もうアスファルトには残っていない。

路地を抜けて畦を踏み、江戸川の土手を見渡せるところまで出てきて、その空のふくらみを北へとたどってみる。わずかに霞むその彼方に、置き去りにされたryoの膨れ面が見えるようだ。雪に煙る滑走路は、飛ぶものはおろか、降り立つことさえリジェクト。夕べ、風神を連れて現れた冬将軍は、ずいぶんと偉丈夫らしい。