長い日曜日
日曜日の午前零時。
北に延びる真っ黒な幹線国道が、赤いテールランプをまばらに泳がせている。RM85LとCRF150RⅡに占拠された荷室が、時折、真後ろから迫るヘッドライトに浮かび上がっては、すぐにまた漆黒の闇へと戻っていく。眠気覚ましに鳴らすカラオケの十八番に声を張り上げ、右にウインカーを倒して、重たそうにボディを引きずるトラック便を置き去りにする。
六月のときとは違って、憂うことは何ひとつない。おまけに、初めて北の大地に降り立ったルートをたどれば、なつかしいロングツーリングの心地にもなってくるし、もっとゆるい、第二のホームコースに向かう日の、あの浮かれた気分にも近づいてくる。宇都宮を過ぎると、たまの信号待ちで横に並ぶテールランプも、いなくなった。
<つづく>