長い日曜日 4

午前六時

朝もやが白く掃かれて、遠くにガスステーションの暖色が霞んでいる。何処にいるのか、はっきりするまでずいぶん時間がかかってから、鼻を鳴らずネロに手を伸ばした。夜が明けても体は重たいまま、シートに崩した上半身を捻るだけでまた、瞼が閉じていく。そのまどろみを蹴飛ばすようにスマホの電子音が、車内に鳴り響いた。ここまで横になってしまっては・・・少し寝過ぎた。

午前七時

陽が昇り、すっかり朝に照らされた北の山の端はもう、秋の気配を漂わせていた。ナナカマドが真っ赤な実を付け路肩に並んで走り、落葉樹の森は薄黄色の枝葉に光を宿し揺れている。右の頬だけが陽射しに当てられ、また頭がぼやけてきた。ネロはただ、遠くの秋に目をやっている。

午前八時

夜が明けるその前に、再び本線へと戻るはずだったのに・・・時間を取り戻すには、いかにもBongoは重たく非力だ。アクセルペダルを踏み込み追越車線に出ていっても、すぐに後ろに張り付かれては左に押し戻される。気づけば岩手山SAを通り過ぎ、安代のジャンクションに向かっていた。

<つづく>