夏日のデュオ 2

<4/25の続き>

背中の視線に力の入らなくなった右手を諦め、左の人差し指と中指を引いては、落ち込んだ2ストローク125ccを呼び覚ます。瞬間、遅れた上半身がリアサスペンションを押し込み、傾いた路面からフロントタイヤがわずかに浮き上がる。第1コーナーには濃い褐色の埃が漂い、かすかにオイルの匂いがした。

ブレーキレバーだけで車体を右コーナーの内側に落とし込むと、すぐに半クラッチを当てて斜面を跳び上がる。着地したYZを一度外に振って、今度は左に180°のターン。第2コーナーのインへと視線をすべらせていく。張り出した木の根が左の肘をかすめ、テーブルトップに隠れた第3コーナーから、2つの音色がぶつかり濁って耳に届いた。

フープスの最初のコブを飛び出したのは、4ストロークじゃなかった。

<つづく>