吹雪

「雪!?」。

季節を一月半も急いだ卯月の始まりに、なぜか素直にそう頷いた。フロントガラスを左から右へ、大粒の雪がさぁっと流れていく。一瞬で視界を奪われ、ホワイトアウトさながらの場面に、アクセルペダルから右足が離れた。減速してゆっくりとなった時間の中で、いくつかの粒は溶けもせず、ウインドウに張り付いたままでいる。よく見れば、薄桃色の真ん中に白く線が通って、風に小さく揺れている。

東風に吹雪いていたのは、枝振りも立派な桜の老木。桜の花の、命は短し。