リトルレーサー 4

 スロットルにいっさい反応せず、まったく加速をしない愛機。第1コーナーからの立ち上がりも、その先、408コーナーからも。もう笑うしかない。ただ、ミドルクラスのオープニングラップは、ここをホームコースにしている身には、いささかスローペース。機嫌の直らない2ストロークを騙しながら、それほど引き離されることなく、セクションを越えていける。そして、三周目のロングストレートで、ようやくエンジンが全開になった。待たせたね、リトルレーサー。左肩の養生も忘れて、いつものペースに近づけながら、テーブルトップを跳び越え、コーナーをつないでいく。最後尾でないことと前走車に追いつけること。そのことを胸の中に仕舞い込み、ただひたすらに右手を絞ってみせる。

つづく