また来年の夏に

旅の終いに、朝から太陽が照りつける。空には怪しげな灰色が帯をなして、時折その強い陽射しを遮り、路傍の草が音を立てる。そのたびアスファルトが陰影をなくして、ざらついた鈍色を海岸へと落としていく。ネロを連れて歩く、出立に不似合いな晴天。いっそ雨に降られた方が気分も出ると言ったら・・・・・・言い過ぎだろうか。さて、いくつかやり残したことを抱えたら、また山を越えて、家に帰ろう。