陽が落ちて、うっすらと茜色に染まる西の空に、くっきりと半月が浮かび上がっているというのに・・・・・・湿り気をはらんだ空気が、Tシャツの上から執拗にまとわりついてくる。狂ったように迫ることもなく、ただそれが余りに半端な感じがして、不快指数は二次曲線を描いて延びていくばかり。まったくいつまで?と嘆く気にもなるけれど、いや、ちょっと待ってくれ。暑さ寒さも彼岸までということを、すっかり忘れていた。
秋の彼岸には、まだ一週間以上もある。残暑を恨みながらも、この一週間に期待してみるのも一興だ。案外ドラスティックに、季節が変わるやもしれぬ。移ろう太陽の光跡も、ゆっくりと高度を下げては部屋の窓をすり抜けて、晩夏?初秋?の光を射し込んでくる。少し鄙びた光には、晩夏ではなく、初秋の色が感じられる。今では午後の七時前にすっかり深く沈む太陽。ただ、そうした常の変化とは裏腹に、摂理の及ばない自然を現実としなければならぬのか、の思いは募る。それもこれも・・・・・・彼岸になれば、すべてわかるのかもしれない。