夕の陽光の中で 2

<10/25の続き>

ここしばらくずっと、マシンが走り出す9時を回ってから到着するいつもだったのに・・・腕にはめた時計を見ると、8時30分を回ったばかり。ずいぶん早く受付に並んでしまった気持ちになる。

MCFAJの最終戦を二週間後に控えた日曜日。全日本選手権とかぶったと言っても、トランポがひしめくパドックを楽しみにやってきたMX408は、そんな日曜日ではなかった。トランポが長い列を作り、machi-sanやtake-sanが列の遠くまで走行申込書を片手に駆けていたのが、とても昔になってしまった。青空の下、Bongoの後ろに着けるトランポは居なかった。

見覚えのない二人に書き終えた申込書と一万円札を手渡しながら、スターティンググリッドの方から歩いてきたmaedaさんに振り返り、大きく声をかける。「せっかく乾いてるのにぃ!水、撒き過ぎだよー」。ここまで降りてくる間に眺めた、408コーナーへ続く直線は・・・彼の仕事で見事に水たまりだらけにされていた。

おつりとmaedaさんのくしゃっとした笑顔をたしかめてから、Bongoをゆっくり前へと進ませる。誘い合った#69さんのVOXYも見当たらない、がらんとしたパドックの中、この人だけはもうモトクロスウェアに身を包んでいた。蒼き獅子。そう、nagashimaさんだけは、いつもとまったく変わらない姿で、真っ直ぐこちらを見つめていた。

<つづく>