極上の空に 1

 薄く張った雲が晴れて、空に高く、夏の太陽が現れた。七月もまだ中頃のこの時期に関東で梅雨が明けるのは、例年より早いことだと言う。お誂え向きに訪れた週末に、ひさしぶりに単車を引っ張り出した。「梅雨明け十日は雨知らず」の言葉を信じたわけではないが、雨男とのツーリングにレインウェアを持ち合わせなかったのは、この陽射しと強烈な暑気が宵の口まで残るはずだからだ。左肩が癒えるまで待つことなく、その光がぶちまけられたアスファルトへと、ヤマハの250を滑らせていく。対向車線を走る車のボンネットにも光は等しく落ちて、ゴーグルのブルーレンズを突き刺してくる。細めた瞳でバックミラーを覗けば、ジグザグにマシンが三台、等間隔で着いてくる。マスで走るのも、ずいぶんひさしぶりのことだ。

つづく