6時59分、急行長津田行き

ひさしぶりにつり革に掴まったまま、押上駅に向かう。7時前の急行電車は、そこそこに混みあってきても、カラダがぶつかり合うことはない。通過駅に向かう人の数を追い越し、色とりどりの看板が帯のように流れていく。無口なサラリーマンに交じって、子どもの小さな笑い声が耳をすり抜ける。季節が変わろうとして、空に重たい雲を這わせていた。

それでも、50分近く同じように立ち続けていると、腰骨の上の辺りが鈍く痛んでくる。それも右だけだから、きっと背骨でも歪んでいるのだろう。それとも、潰れた半月板で、左脚が少し短くなってしまったのか・・・。混沌とした思考を縫うように北千住駅の見慣れたホームへ電車が滑りこみ、目の前で立ち上がった女性の残した、細い隙間に、腰をもぐり込ませる。

狭い乗降ドアから吐き出される大きな波に、元気な夏が流れていった。