極上の空に 3

 まず向かうは、栃木県栃木市。日光へ北上するルートを、そこで決めることにした。三台のクォーターマシン。と言っても、すべてブロックパターンのタイヤを履くオフロードタイプ、そこに一台、ピンクナンバーのハンターカブが混ざる。巡航速度は四輪の流れに乗る程度、無理な追い越しはしないと、慣れた県道をつないで利根川を渡り、土手沿いの脇道を伝い、渡良瀬遊水池へと走る。信号待ちで見上げる梅雨明けの空は、太陽に洗われ青が濃さを増し、雲の白が冴えわたる。「止まると暑いね」と、この時期、聞き飽きた台詞を隣のマシンに吐いては苦笑する。でも、他に言うことが見つからない。わずかな時間でシグナルが青に変わり、反射的に左の指がレバーを引いて、シフトを蹴り込み、右手と左手が同期するとマシンが動き出す。ハンドルグリップに添えている限り、左肩に痛みも感じない。

つづく