ツーリング

Winding road 5(完)

トンネルを抜けて、また“飽きるほど”続くカーブにdukeと戯れていると・・・クルマの間に挟まって、BMWの1200GSが見えた。ちょうどブラインドコーナーを立ち上がってきたところで、こちらに視線が渡るとすぐに、左腕をすっと伸ばして、大きく振りかざしてみせ…

Winding road 4

山の側面を、クネクネと形どおりにつないでいた県道は、いくつかのトンネルで見事に短絡されて・・・せっかくの“愉しみ”はだいぶ削られてしまっていた。だどりついた林道がコンクリートに埋められているのを見たような、一瞬そんな気分にさせられる。それで…

Winding road 3

黄色いセンターラインに近づくように曲がっていく右コーナーは、マシンの傾きにカラダを預けてリーンウィズ。車線一本分小さく廻る左カーブは、上体を起こしたまま、リーンアウトで回っていく。気分はK.シュワンツ、時々左足をステップから離してアスファル…

Winding road 2

道は片品川から別れて、根利川に寄りそって走る。切り返すような鋭いカーブはほとんどなくて、Sの字をいくつも描きながら、少しずつ高度を上げていく。緑は濃く、その枝を大きく夏の陽射しに広げている。6500回転を越えないように短い加速とシフトチェンジを…

Winding road

気温29℃。うっそうと道に張り出した緑の影を、左右に切り返す―― ただでさえ少ないクルマが、ほとんど関越自動車道の昭和ICへと流れていった。高原野菜の畑が広がる赤城西麓の広域農道を、一気に沼田まで走りきる。最後の最後、それまでの藍色をした二車線の…

行くか!?

北へ向かって広がる藍色の空に、真っ黒な積雲がふたつ、ぼんやりと映っている。宵闇には巨大な倉庫が立ち並び、ナトリウム灯の橙色が、風に滲んでいる。真昼の暑気と、通り雨の湿り気で、シャツがべたりと肌に張り付いた。ryoの運転するcarryは、ガソリンを…

2013 夏

晩夏。書店の“クルマとバイク”雑誌を並べた棚には、250の文字が良く目につく。この前、思わず手に入れた「Under400」も、“軽二輪で行こう”の文字のまま、まだ棚の中に残されている。他に「オートバイ」「ヤングマシン」「モーターサイクリスト」・・・バイク…

軽二輪で行こう 6(完)

あれから10年以上が過ぎて・・・モトクロッサーに乗せれば、ワタシよりも速くなったryoは、二輪の免許を手に、独り名古屋へツーリングに出るまでになった。ソロツーリングの終わり、飛騨高山から山伝いに渋、草津へとたどる二日間を、XR230とEXC-R250で過ご…

軽二輪で行こう 5

<8/18の続き> 「10歳になったら」・・・その約束を守るため、一週間のタンデムツーリングを実現したのも、このSRV250。行き先は、夏の北海道。大洗からフェリーで苫小牧に入って・・・道央を手始めに道北、道東を回る、一週間ではかなり欲張った計画だった…

軽二輪で行こう 4

キャブレターのスロットルバルブについた“空気穴”を拡げるだけじゃ物足りない。「こうなりゃ“強制開閉”しかない」と兄弟車XV250 viragoのインシュレータを加工して、三國のTDMRを強引に取り付ける。セッティングデータなんてないから、我流だ。感覚だけで合…

軽二輪で行こう 3

とりわけ高速道路は走る気さえ起こらない、缶コーラ一本分には、それでも、ずいぶん遠出をさせてもらった。特集が一区切りついた辺りで、そんな懐かしい名前と意匠が瞳に映る。YAMAHA SRV250。RGV250ΓとMONSTER900の間を彩り、ワタシとryoにたくさんの思い出…

軽二輪で行こう 2

『U4』Under 400、昔で言う“中型二輪”を主に扱う、一風変わったバイク雑誌だ。大型二輪免許が教習所で取れるようになってから、メーカーもメディアも大型バイクばかりをかわいがり、手間のかかる軽二輪は、いつしか蚊帳の外に追いやられていた。2ストマシン…

軽二輪で行こう 1

「出来の悪い子ほどかわいい」と言うけど、それもせいぜい義務教育に通っている間ぐらいのもの。そこから先も出来が悪いままだと、余るかわいさもないほどに、憎々しい存在だ。その彼に奪われて・・・6畳のガレージにも、ブロンズ色したカーポートの隅にも、…

8/9のキオク~終

白根山の駐車場を横に見て、ここからは草津まで一気に駆け下りる。蛇行するアスファルトを眼下に眺めながらの「下り」は、お気に入りのひとつだ。途中、土石流紛いの峡谷の上、白根山ロープウェイのキャビンが、浮かび動いている。白い機体を見上げると、小…

8/9のキオク~3

世話になりっぱなしの「西正」に短く礼を言い、予想をはるかに超えて長居になった渋温泉を出ていく。和合橋から延びる坂道を上って、国道292号線(やっぱり「志賀草津道路」と呼ぶ方がしっくりする)に入った時は、もう午後の一時を回っていたはずだ。本格的…

8/9のキオク~2

この通りを流すのは、これで何回目だろう・・・もう数えるのもおっくうなくらい往復している。それでも、特典でもらった“温泉無料引換券”、せっかくだから「入ってこいよ」と、ryoの背中を叩く。どうせなら「“露天”がいいんじゃないか」と付け加えると、“貸…

8/9のキオク~1

<Summer Vacation~8/9の続き> 空腹を抱えて待ちくたびれたワタシの前に、ニコニコとryoが歩いてきた。もちろん、首から赤いカードをぶら下げている。向こうもぶらつき通しで、一息つきたいところらしい。渋高薬師と、その先にある毘沙門天の話をすると、…

8/8のキオク~終

暗くなったと言っても、まだ午後の9時を過ぎたばかり。温泉街の目抜き通りが歩行者天国になっていると、街頭のスピーカーから女性の声が聞こえる。外湯巡りのついでに、ぶらつくのも悪くない。帳場で外湯の鍵を借りて、表玄関から石畳の続く小径へと繰り出し…

8/8のキオク~6

長野オリンピック以来、立派なバイパスになってしまった旧「志賀草津道路」、今は国道292号線の長い上り坂を走る。「戸狩・湯田中IC」で左に下がり、案内どおり横湯川を渡って、右に折れていく。渋・湯田中温泉は、その川沿いに延びる細長い温泉郷。上流に向…

8/8のキオク~5

信号待ちをしていると、ryoが左手を叩き、国道に面した店の“お品書き”を指さす。栗ソフトクリーム・・・260円とある。信号が青に変わってから、ちょっと広めな交差点の角にマシンごと乗り入れる。そのままマシンを置き去りにして、早速店の方へ歩いてみた。…

8/8のキオク~4

県道に出て、予定どおり、麻績村から国道403号線で千曲市に向かう。聖高原を過ぎて、千曲高原を縫うように走る道からは、眼下に千曲川の流れと、そこに寄り添う千曲の市街地を一望できる。緑の敷物の上に、道路と小さな建物と川の流れ、その奥に連なる山々を…

8/8のキオク~3

ツーリングマップルに「旧道に千体の石仏が」と記されていた、その旧道に寄り道したまでは良かったけど・・・曲がったところが良くなかった。クルマが通れる道幅だったのは、最初の百メートルほど・・・道はどんどん細く、草まで生えてくる始末・・・「この…

8/8のキオク~2

走るにも歩くにも、陽射しが眩しくて敵わない・・・。歩道を十数メートル戻って、遠目に売店を覗き込んでみる。真ん丸としたスイカが台の上にいくつも並べられていて、ちょっと食べさせてくれそうな雰囲気じゃない。その奥で目が合ったのは、短い髪を金色に…

8/8のキオク~1

<Summer Vacation~8/8の続き> 岐阜と長野の県境に建つ「峠の茶屋」は、風雪に耐え過ぎたのか、外塀の塗装がすっかりはげている。新しくトンネルが出来たおかげで、その役目を終えたように、ひっそりと道端に佇んでいるだけだ。手を伸ばせば、空の青に触れ…

8/7のキオク~終

※今日のRIDE DAYも楽しかった。そちらの話は後日改めて! 目の前を走るクルマのブレーキランプも識別できない。平湯温泉がすっぽりと豪雨の中だ。木々に遮られることも無いから、山で出会うよりも性質が悪い。安房峠道路の出口、国道158号線と471号線が交わ…

8/7のキオク~3

さわんどを過ぎ、トンネルとトンネルの隙間に立つ坂巻温泉を左に見ながら、安房峠へと向かう最後のトンネルを出た瞬間・・・ゴーグルのレンズに水滴がはじけた。トンネルの天井からではない、低く垂れこめた雲からだ。その後も、ひとつふたつと、雨粒がゴー…

8/7のキオク~2

勘というものは、簡単には戻らないようだ。松本インターに出たいだけなのに、あっさりと迷い始めた。地図をよく見ないで走り始めたことに、後悔はしても、こう暑くては停まる気がしない。道の広さとクルマの流れを頼りに走り続けても、一向に緑色した「松本…

8/7のキオク~1

<Summer Vacation~8/7の続き> 道にせり出すように伸びた枝葉の下、わずかな木陰を抜けるたびに“涼”を感じるのは、バイクならではの優越。見下ろす鏑川の底が、ここからでも透けて覗ける。アユ釣りの棹を渡していく仕草も、今日は涼しげだ。国道254号線を…

Summer Vacation~8/9

山から吹き下ろす風は、涼しさを抱えたままだ。陽射しに照らされた首筋に触れては、横湯川に沿って、さらに下っていく。夕べ、薄暮の中に鳴いていたヒグラシを追いやるように、ミンミンゼミが森から街へ、やかましく声を震わせている。日陰に置かれたプラス…

Summer Vacation~8/8

朝の雲はいつしか消えて、ビジネスホテルの小さな窓いっぱいに、青が広がる。高山の駅舎の屋根が、白く光始めた。出発を前に二人の悩みは・・・経路。7時を過ぎても、まだ決められないでいる。平日の今日、富山市街を抜けて、そのまま8号線を北上するのは、…